荼毘

先日ひとりぼっちのみんな『キャンプ荼毘』を観ました。

 

今から書くのは、感想というよりざっくりとした覚え書きに近いかもです。観た人以外にはあらすじとか伝わらない気がするけど、話の筋とか設定を語るより熱量で語る舞台だと思ったので、まあいいかなと。

 

『キャンプ荼毘』は《だチーム》と《びチーム》のダブルキャストで上演されていて、先にびを観たんですが、これは両方観なきゃあかんやつだなって思って、すぐに、だを予約しました。

 

こんなこと言われても全く嬉しくないかもしれないけど、作・演出のいかちゃんこと伊藤香菜ちゃんの中身はなんだかんだ自分と似てるんだよなって思った。

 

いや、嘘、ほんとは別にそんな似てない。

 

でもそうやって「自分を見てるみたいだ…」って感じさせるくらい、抱えてきた個人的な感情とか感覚を刺激するのがはちゃめちゃに上手くて、凄いです。

 

「社会を切り取る」みたいな主語の広い話ではないし、むしろものすごく個人的なことを切り取って描いているんだけど、個人にフォーカスすればするほど、誰もが普遍的に感じること、とかも浮かび上がってきてより多くの人に刺さる、みたいな。

 

もはや学生ではなくなった自分(23)は、この作品における「いま=成長後」の年齢(25)近いはずなのに、この作品で描かれている「過去=学生時代」(高校生)みたいな感情にも未だにとらわれてしまうし、でも、成長後の葛藤っていうか年齢に対する焦りみたいなのもわかってしまうし、なんかもうどの年齢の自分も結局どうしようもないな!ってなったり。

 

こじらせて、ねじれて、成長してほどけた部分もあれば余計にねじれてしまった部分もあるのかもしれなくて、これを客観的に微笑ましく見れる日を、今はまだ想像できない。

 

でも見終えたときに残る感情は絶望ではなくて希望で、その不器用さが愛おしくなるような、そんな作品でした。

 

 

チームによる違いとしては

 

びチームの方が燃えてる(燃やしてる)イメージで、毒と痛さを感じました。観てて痛々しいという意味ではなく、尖っててぐさぐさ刺さるものがあるって意味で。傷口えぐってくるしカサブタは剥がしてくるし超ドロドロしてて超しんどかったけど、燃やし尽くしたら超かっこよかったし煌めいてた。

私の中で、いかちゃんの分身感を感じたのもこちらの役者さんたちでした。ひとりぼっちのみんなならではの感じ。

 

だチームの方はお通夜感というか弔い感が強くて、痛みよりは哀しみ。さよならって感じ。だけど爆笑したのもこっちかもしれない。振り幅が大きい。脱皮感もある。いかちゃんの分身・自伝的作品というよりは他の誰かの話って感じでした。ひとりぼっちのみんなぽくないという意味ではなく、もちろんそのカラーはあるんだけど、役者さんに手渡されて再構築された感というか。アニメ化できそう。

 

全然違う印象だったので本当に両方観てよかったです。

 

あとテーマ曲は最高にかっこよくて、踊ってるみんなの表情やエネルギーにあてられて、まだストーリーわかんないのにオープニングで泣けた…。

 

ここからは純粋な観客としての感想では無くなってしまうけど、いち観客として自分自身の学生時代を思い出すほかに、私自身も7月に別の作品(『分別盛りたいっ!』)でひとりぼっちのみんなに出演させてもらっていたので、その時のことを思い出したりもしました。

 

当時共演した方々が今回の『キャンプ荼毘』でも両チームにいたので、全然違う表情を見せてくれた金田一さんとかレオナさんにどきっとしたり、軸はブレないのに表現のパターンは多彩なきわこちゃんとかきょんちゃんを尊敬したり。出演者以外にも、制作や音響、照明、お疲れさまでした。

 

ちなみに7月にひとりぼっちのみんな『分別盛りたいっ!』に参加してた当時の自分に対しても「こじらせててうぜー!」って思う部分は結構あるのだけど、

(当時作品を観に来てくださった方がこのブログを読んだとき誤解を招かないように補足すると、勿論作品に関われてすごく良かったし、ひとりぼっちのみんなに出演したことは全く後悔してないです。大切な時間でした。他のメンバーに対して攻撃的な気待ちを抱いているとかも全くないしむしろ好きなんですけど、役者としての自分自身の在り方とコミュ障発揮ぶりに色々後悔している)

今回の作品を観て、いろんな後悔を燃やした姿を見て、私も自分の後悔を燃やせたというか、生きよう、って思えたので、ありがとうって気持ちになりました。開き直りではなく。自己満足ではあるかもしれないけど。

 

 

まあそれはどうでもいいんだ。話がそれました。

 

あらためて、

 

ひとりぼっちのみんな、の皆が、同世代として面白い作品をつくる姿は刺激的だし、かっこいいです。

生きてるって実感を、熱量を、煌めきを強く感じさせる、映像ではなくその空間でしか感じられないものがある、作品が演劇である必然性を強く感じる劇団です。

 

明日が楽日ということで、このブログを読んでくれた人に『キャンプ荼毘』を予約してもらう…とかは難しいかもしれないけど、今後もいろんな作品を作り続けると思うので、いろんな人にひとりぼっちのみんながつくる瞬間を見届けてほしいなと思います。